門前地域住宅復興支援ネットワーク

門前地域住宅復興支援ネットワーク

門前地域住宅復興支援ネットワーク

0.はじめに
 3月25日の日曜日、午前9時42分に発生した能登半島地震によって、輪島市門前町地域では大きな被害を受けました。現在の被災地は仮設住宅への入居もほぼ終わり、発生直後のショックから徐々に立ち直ろうとしています。

 地震発生直後、私たちは「門前地域住宅復興支援ネットワーク」を立ち上げ、地震発生直後の門前地域に入りました。その時、地震の被害によって能登の自然と伝統的な民家が形づくる美しい景観が大きく崩れていたことに大きな衝撃を受けました。ただちに、被災した方々の住宅が安全で、今後も住み続けられるのか、一戸一戸を訪ねて相談に応じ、専門家としてアドバイスしてきました。そして、相談を始めてすぐに、被災された皆さんの置かれたそれぞれの厳しい状況を目の当たりにし、今回の地震では単に能登の景観が失われるだけでなく、もともと問題であった高齢化や過疎化などに地震被害がさらに拍車をかけ、コミュニティの崩壊、集落・地域の喪失もありうる瀬戸際だと強く感じました。

  その時、能登の美しい景観や民家を守るだけでなく、人情の深い、あたたかなふるさとのコミュニティを守るための支援活動を行う「門前地域住宅復興支援ネットワーク」を継続して運営したいと決意しました。

1.ネットワーク組織
・ 「門前地域住宅復興支援ネットワーク」を構成するのは、總持寺周辺地区まちづくり協議会、(社)金沢職人大学校有志、石川県建築士会青年・女性・まちづくり委員会有志、金沢大学(川上研究室)、金沢工業大学(谷研究室)、石川工業高等専門学校(建築学科)などの大学・高専等の機関、その他の個人の皆さんです。

・ 現時点では、特に明確な組織を持たず、必要に応じて随時、参加できる各組織や個人が、それぞれ活動に参加しています。また、今後、活動の内容に対する皆さんの賛同を得られれば、門前地域との関わりの有無にかかわらず、参加の輪を拡大したいと考えています。

ネットワークの連絡や情報交換は、それぞれメールや電話などで行っていますが、共通の情報交換の場としてこのホームページを立ち上げることにしました。なお、管理運営は金沢大学工学部土木建設工学科川上教授の指導を受け、金沢大学の大学院生と(株)ヒューマンネットで受け持っています。

2.活動目的と内容
<短期的目標>
@被災者への住宅修復に関する調査・診断・情報提供
・ 被災者は住宅修復に関する情報をほとんど持っておらず、また、それを考える心理的余裕のない状態に置かれています。
・ 一方、行政は被災者に対し、住宅を解体するかどうかを判断するよう求めています。
・ このままでは行政から解体助成が出ることなどもあり、伝統的な民家が次々に解体される恐れがあり、その後、ハウスメーカーなどの能登の景観に合わない住宅の建設が進むことが予想されます。
・ また経済的負担の大きい住宅の建て替えを行えない高齢世帯等は、これを機会に子供の元へ移転し、愛着のあるふるさとを離れざるを得ない状況になることも予想されます。
・ また、このような建て替えを出来ない世帯は住宅を改修して住み続けることになりますが、経済的に不利な条件で改修を契約したり、耐震性を向上しないまま改修してしまうことも予想されます。
・ 以上のような問題がある被災住宅の修復について、修復の可能性を判断する情報を提供したり、能登の景観や耐震性向上まで踏まえた住宅再建を住民に考えてもらうため、情報提供や現地での活動を行っています。

A地震発生後の住宅修復の問題点の把握と対応策の検討
・ 地震発生後の住宅に対する行政の対応は、第1段階が「応急危険度判定」、第2段階が「罹災証明のための住家被害調査」となります。
・ これらは地震発生後1週間以内に完了しますが、地震の恐怖から抜けきれない被災者にとっては、被災した住宅の被害状況と安全性を応急的に調査する「応急危険度判定」の主旨が充分に理解されていないことが現状です。
・ 『余震等による二次災害の防止』を目的とした赤・黄判定が、所有者の方々にとっては『被災住宅は修復不可能である』と受け取られ、解体へと一気に進む例が多く見られます。
・ しかし、我々のメンバーの修復専門家による現地調査では、これら赤・黄判定の住宅でも多くが修復可能となっています。
・ その結果、過剰な解体、建て替えが進むことになり、被災民に結果的に経済的負担を強い、また、伝統的な民家や地域の景観が失われ、建設廃材が増加することが懸念されています。
・ このような被災住宅の再建に関する問題点をデータとして把握し、これに対する対策を立案し、今後の地震発生に適切に対応する基礎資料とする予定です。

<中期的目標>
B集落復興への参加・提案
・ 高齢化、過疎化の進んだ中山間地が被災した今回の能登半島地震では、今後、廃村や集落の復興が避けられないテーマになります。
・ その場合、地元に住む者として、あるいは長年地域のまちづくり活動を支援してきた者として、被災者や離村者の意識の把握と、新たに策定される集落計画の策定などに、地元のまちづくり団体、民家修復技術関係者、プランナーなどの立場で参加したいと考えています。

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